国際テロの現状
国際テロ情勢
 2001年9月の米国における同時多発テロ事件以降、世界各国でテロ対策が強化されているにもかかわらず、イスラム過激派による脅威は依然として高い状況にあります。
 2016年は、ISIL(いわゆる「イスラム国」)やAQ(アル・カイーダ)関連組織の活動と影響がイラク及びシリア以外の世界各地で伸張したことに特徴付けられます。

ISIL関係

 2014年にカリフ制国家の樹立を自称して、その過激思想の影響を受けた多くのムスリムを世界中から引きつけ、イラク及びシリアにおいて勢力を増大させたISILについては、北・西アフリカから東南アジアに至る世界各地で支持を表明する組織が現れましたが、それらの一部に対しては、ISILの「州」と認めるなどして、世界のテロ情勢を大きく変化させました。
 しかしながら、ISILはイラクでは、米国主導の有志連合による空爆支援・軍事指導を受けたイラク国軍や民兵組織によって同国における支配地域の一部を奪還され、シリアにおいては2015年秋からロシアがアサド政権支援のため空爆を開始したことなども受け、反体制派武装グループの勢力図が急速に変化し、シリア北部・北西部に広げていた支配域を失いました。 

 2015年末から2016年にかけて、主戦場ともいえるイラクおよびシリアで劣勢になったとみられるISILは、「州」の設置を自称していたリビアでの勢力拡大に注力し、同国での勢力伸張が新たな脅威とみなされるようになりました。
 しかし、2016年夏頃までに、その主たる拠点があったシルテは、国連が支持する統一政府とこれに協力する民兵勢力等によってほぼ制圧されているとみられ、ISILのリビアにおける勢力維持は困難になっているとも評価されています。
 一方、ISILは、世界各地において、ソーシャル・メディア等を通じて思想的に影響を受けた者たちを扇動し、あるいは、中東地域からの移民・難民の中に外国人戦闘員を紛れ込ませて、欧州の有志連合参加国に送り込むことで、テロが行われる地域を広げています。


AQ関係
 AQは、指導者ザワヒリが反米、反イスラエル的思想を累次にわたる声明の中で繰り返し主張する一方で、中東、北・東アフリカ及び南アジアで活動を続けるAQ関連組織は、現地政府、治安機関、国連平和維持活動に従事する外国軍等を狙ったテロを行っており、こうした地域では以前、大きな脅威であり続けているほか、欧米諸国等の権益を標的としたテロを企図する組織もあり、いわゆるグローバル・ジハードの志向を持ち続けています。
 シリアにおけるAQ関連組織で、同国での内戦に参加する反体制派武装勢力の中でも強力な組織の一つと評されているヌスラ戦線は2016年7月、AQからの離脱を表明しました。
 ISILを除き、組織としてAQからの離脱は極めてまれですが、ヌスラ戦線指導者ジャウラーニーは、離脱はシリアにおける他の反対勢力との共闘に必要で、ザワヒリも承認したものと説明しており、AQとの人的・思想的な結び付きは依然継続しているものとみられます。



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